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院長が日々診療するうちに思う雑感を記す矯正コラムです。

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矯正治療をご希望で、近々遠方へ転居の可能性のある方へ

当院に初診相談に来られる患者さんの中には「来年結婚で東京に行く予定です」とか「半年後に転勤の可能性があります」などとおっしゃられる方がおられます。私は1年以内に遠方へ転居の可能性がある方には、今慌てて治療を開始せずに、転居後に治療をスタートすることをお勧めしています。今回はそれはなぜかというお話をしたいと思います。

矯正治療を希望されている方は、半年や1年あれば治療は結構進むだろうし、何もしないのも時間がもったいないなと思われていることと思います。矯正治療は治療を開始したいと思っても、残念ながらすぐにはスタートできません。スタートまでにいくつかの段階を踏む必要があります。当院の場合、大まかな治療の流れとしては以下のようになります。

転医

初診・相談

検査・資料採得

ブラッシング指導

診断

抜歯(必要な場合)

装置の装着

ブラッシング指導は合格制になっていますので、1度受けたら終わりになるわけではありません。ご自身で細かいところまでしっかりと磨けるようになるまで何度も通ってきていただくことになります。抜歯も小臼歯抜歯だけであれば比較的早いですが、親知らずの抜歯が必要であれば、それだけで1~2か月はかかります。初診相談に来ていただいてから、実際に治療がスタートするまで最低でも2~3か月は必要です。患者さんによっては、これ以外に治療開始前に口腔筋機能療法(MFT)を受けていただくこともありますし、外科矯正の場合は、提携病院(阪大病院)で検査を受けていただく必要も出てきます。

もし仮に半年後に転居ということであれば、装置を着けて1~2か月調整したらすぐに引っ越しということになってしまいます。1年後に引っ越しだとしても、7~8か月調整して転居ということになってしまいます。引っ越し先が比較的近くでそのまま通院できる場合や遠方でも頑張って通院しますということであれば全く問題ありませんが、遠方で通院が難しいという場合は、引っ越し先近くの医院に治療継続をお願いすることになります。

矯正治療中に転医となると、少々問題となることがあります。先生や医院によって治療法や治療方針、使っている装置、治療費などが異なることです。当然ながら、先生によって治療の考え方や得意な治療法、装置などが異なるため、必ずしもスムーズな治療継続にならず、場合によっては治療方針の変更となる場合もあります。私も他院からの転医の患者さんには、原則として再診断並びに当院で使用している装置への付け替えをお願いしています。そうしないと、私自身が非常に治療しずらいですし、仮にそのまま治療継続して上手くいかず治療期間が伸びてしまったり、きっちりと治療を終えることができなければ元も子もないからです。検査や装置の付け替えなどで多少追加費用が必要になってしまいますが、責任ある治療をするためですので、ご理解ご了承を頂きたいと思います。

矯正治療は診断→装置装着→調整→治療終了という一連の治療の流れが非常に大切です。途中で先生が変わってしまうと、どうしてもこの流れが一旦断ち切られてしまいます。理想を言えば、一人の先生が最初から最後まで治療するべきですし、その方が様々な点でスムーズで無駄がありません。近々遠方へ転居の可能性がある方は、治療開始のタイミングをよくお考えいただいた方がいいと思います。

2018月09月14日

院長 大西 秀威