最近当院では、装置を取り外し可能なマウスピース型矯正装置(インビザライン)を希望される患者さんが増えています。患者さんの状態により、マウスピース型矯正装置では治療が難しい場合、マウスピース型矯正装置の方がむしろ得意な場合、ワイヤータイプのマルチブラケット装置でもマウスピース型矯正装置でもどちらでも治療できる場合など様々なケースがあります。マルチブラケット装置でもマウスピース型矯正装置(インビザライン)でも治療可能な場合、最終的に同じゴールを目指すとしても、治療の進め方は異なります。今回はマルチブラケット装置とマウスピース型矯正装置(インビザライン)で治療の進め方の違いについてお話したいと思います。
患者さんの状態によってケースバイケースなのはもちろんなのですが、一般的に言うとワイヤータイプのマルチブラケット装置では、初めに全体的に大まかに並べて、そのあと奥歯や前歯の咬み合わせを合わせたり、歯を抜いた隙間を閉じて行き、最終段階で細かい歯の並びや段差などを調整していきます。マルチブラケット装置で治療を開始した当初は、歯がどんどん動いていき、みるみる歯が並んでいくのを実感していただけると思います。しかし治療が進行してくると、徐々に細かいところの歯の移動に移っていきます。治療の最終段階では、見た目には何が変わっているのかわかりずらくなってきます。もちろんどこの部分を調整しているのか説明は必ず行いますが、患者さんにとってはもう綺麗に並んでいるのに、なんで終了にならないんだろうとストレスがたまる時期かもしれません。
マウスピース型矯正装置(インビザライン)では、治療の最初から最後までのシュミレーションを作成し、全体的に少しずつ決まったペースで歯を動かしていきます。ワイヤータイプのマルチブラケット装置のように歯のガタガタをまず並べてというようなことがないため、治療を開始してすぐに、前歯がみるみる並んでくるというようなことには通常なりません。そのため、歯が並んできたと実感していただくには、マルチブラケット装置よりも時間がかかるかもしれません。しかし、細かい歯の動きを含めて全体的に歯を動かしていくため、気が付いたら結構並んでいたなという感じになると思います。マウスピース型矯正装置(インビザライン)では装置を患者さんご自身で取り外しできるので、ここがまだ並んでないなというのも見た目にわかりやすいと思います。
上記のようにワイヤータイプのマルチブラケット装置とマウスピース型矯正装置(インビザライン)では治療の進め方に違いがあります。例えば結婚式などあり、半年後までに前歯だけは綺麗に並べておきたいなどのご希望がある場合は、マルチブラケット装置では可能でも、マウスピース型矯正装置(インビザライン)では難しいことが多いです。マルチブラケット装置とマウスピース型矯正装置(インビザライン)で治療期間が極端に変わることはありませんので、ご自身のライフスタイルやご希望に合わせて選択していただければと思います。
<注意事項
- ※マウスピース型矯正装置(インビザライン)は医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けていない未承認医薬品です。
- ※マウスピース型矯正装置(インビザライン)はアラインテクノロジー社の製品であり、インビザラインジャパン社を介して入手しています。
- ※国内にもマウスピース型矯正装置として医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けているものは複数存在します。
- ※マウスピース型矯正装置(インビザライン)は1998年にFDA(米国食品医療品局)により医療機器として認証を受けています。
- ※マウスピース型矯正装置(インビザライン)は完成物薬機法対象外の矯正歯科装置であり、承認薬品を対象とする医薬品副作用被害救済制度の対象外となる場合がありあります。
2018月03月25日
院長 大西 秀威