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院長が日々診療するうちに思う雑感を記す矯正コラムです。

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歯並びは遺伝するの?

遺伝当院に通院していただいている患者さんのお母様から「歯並びは遺伝しますか?」と質問を受けることがあります。旦那さん、奥さんあるいは自分の歯並びが悪く、子供さんの歯並びも悪くなってしまうのではないかと心配されている方も多くおられると思います。今回は歯並びが遺伝するのかどうかというお話をしたいと思います。

歯並びが親御さんから子供さんに遺伝するかというと、歯並びが直接遺伝するというよりも、歯並びを作る基本的な要素、例えば骨の大きさ、骨の前後的な位置、歯の大きさ、歯の数などが遺伝すると言った方がいいと思います。歯並びを形成する基本的な要因が似ていれば、似たような歯並びになる可能性が高く、結果として遺伝したということになります。よくあるのが、親御さんが受け口の場合だと子供さんも受け口になりやすい、親御さんにひどい歯のガタガタがあると、子供さんも歯のガタガタになりやすいなどです。これは、上下の顎の大きさのバランスや歯と顎の大きさのバランスが遺伝した結果です。

子供さんにとって親御さん(特にお母さん)の影響は非常に大きく、お母さんが言葉をしゃべったり、物を飲み込んだりするときに舌を出す癖があると、子供さんも真似をして同じような癖を持つということが多く見受けられます。その結果、お母様と同じような歯並びや咬み合わせになってしまうということもよくあります。

しかし、似たような要因を持っていたとしても、必ずしも同じ歯並びになるわけではありません。というのは、歯並びは遺伝的な要因だけではなく、環境的な要因つまり後天的な要因でも変化するからです。親御さんがともに綺麗な歯並びをしていても、普段の食生活や体の姿勢、舌や唇にまつわる癖、虫歯が多いなどの要因で、歯並びが悪くなってしまうことも十分にあり得ます。逆に言うと、例え親御さんの歯並びが悪くても、悪くなる要因を一つ一つ取り除き、健やかな歯並びの成長発育をしやすい環境を整えてあげれば、綺麗な歯並びになる可能性は十分にあります。それがまさしく矯正治療そのものです。

このように歯並びは親御さんから子供さんに遺伝する可能性はあります。親御さんが歯のガタガタがひどくて、以前に歯を抜いて矯正治療をしたという場合でも、子供さんを小さい頃から成長を利用して治療することにより、歯を抜かずに治療できるということもよくあります。子供さんの可能性は∞(無限大)です。小さい頃から矯正治療するメリットはまさにここにあります。子供さんの歯並びを心配されている親御さんがおられましたら、ぜひお気軽にご相談ください。

2014月10月13日

院長 大西 秀威